建物データ

概要

「阿佐ヶ谷プロジェクト」は、構造計画研究所の「先進的 なビジネステーマ・技術の実証の場」および「これからの ビジネステーマ」の創造の場として、2005年10月に始動 しました。 社有地の有効活用を通じて、KKEの所有する最先端の技術を広くアピールするため、主要な技術テーマを次世代構造 システムの開発に設定。翌2006年より3次元免震システム の共同開発に着手しました。 敷地条件より建物用とを低層集合住宅とし、大臣認定を経 て建築確認申請を取得。様々な実験・実証の場として活用 が可能な、KKE Technology Galleryとして、 2009年11月に着工しました。

世界初という試み

社会に未だ実現しない考え方をビジネスに育てようとするチャレンジ精神。世界で初めて3次元免震装置を実装した建物「阿佐ヶ谷プロジェクト」は、当社の長年の取り組みが、様々な関係者の協力を得て実現したものです。 直下型の地震では、遠い海底で発生する地震に比べて、横揺れと同時に強い縦揺れが起こるため、被害が拡大することがあります。従来の免震装置は水平方向の揺れに対してしか対応していませんでしたが、地震による横揺れに加え、縦揺れも低減する3次元免震装置システム「ハイパーエアサスペンション」を新たに開発、実用化しました。 3次元免震システムが建物全体に採用されるのは世界で初めてとなります。

産学連携によるコラボレーション

大学・研究機関と実業界をブリッジする総合エンジニアリング企業として、構造計画研究所は様々な大学・研究機関・企業と連携してきました。 今回の3次元免震建築の実現にあたっては、東京大学名誉教授 藤田隆史先生のご指導のもと、清水建設株式会社およびカヤバシステムマシナリー株式会社と共同で開発に着手。次々と発生する技術的課題に対し、協力なパートナーシップのもと、数多くの実証実験を経て解決し、ついに実用化を果たしました。 また、等プロジェクトの設計・工事情報を管理するSMILEシステムは、東京大学生産技術研究所の野城智也教授のご指導を仰ぎ、当社が加入する有限責任事業組合が中心に推進した研究開発がベースになっています。

超長期住宅先導的モデル事業として

環境への負荷低減を図りながら持続的な発展を目指すサスティナブル社会の実現に向けて公募された、国土交通省の平成20年度 第1回「超長期住宅先導的モデル事業」に採択されました。

・世界初の3次元免震建物の提案
フレキシブルで高耐久なスケルトンを支える装置として、3次元免震装置を世界で初めて建物全体に実装。十分な劣化対策措置を施した駆体に本免震装置を採用することで、耐用性を飛躍的に高めることを可能にしました。

・フレキシブルで居住性の高い建築計画
ロングスパンの無柱空間の上に設けたコモンガーデンを介して各住戸へアプローチする構成とし、フレキシブルな空間構成と共用部を介したメンテナンスが可能な計画としました。

・住宅履歴情報の蓄積と活用
住宅履歴管理システムSMILEに、設計情報や施工記録、竣工後の維持管理の情報を蓄積していきます。環境情報の測定、記録も行い、住宅履歴とともに活用し、「いいものをつくってきちんと手入れし長く大切に使う」サスティナブル社会の実現に寄与していきます。

【ご参考】「超長期住宅先導的モデル事業」(現名称「長期優良住宅先導的モデル事業」)とは
国土交通省が平成20年度に新規事業としてスタートさせたもので、「超長期住宅に関する先導的な提案を広く公募し、それを評価・採択する。採択された事業については、モデル事業として国が費用の一部を補助する」ものです。名称は「長期優良住宅先導的モデル事業」に変更され継続しています。